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総合商社 2020年度1-3Q実績比較

今回の記事では、総合商社の2020年度1-3Qの実績を確認したいと思いますので、宜しければご覧下さい。

 

 

総括

下記が各社の2019年実績、2019年1-3Q実績/2020年1-3Q実績、2020年年間見通しをそれぞれ総括したものになります。

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三井、住友、丸紅は2020年の年間見通しを上方修正しています。据え置いている三菱、伊藤忠も進捗率は、75%を超えており、上方修正の余力があるも、来期以降の布石に備え、年間見通しを据え置いていると見受けられます。

 

見通し比で各社が好調な理由には、”金属セクターの好調”が挙げられます。見通し比で、三井は+350億円、丸紅は+130億円、住友は+110億円と、各社金属セクターの好調が上方修正の要因となっていることがわかります。

 

これは、各社がコロナの影響による需要減に伴い、金属資源価格を低めに見通していましたが、中国が想定より早くにコロナ禍から回復→需要回復、金属資源価格が想定より上振れとなったことが、原因と見られています。

 

各論

三菱商事

天然ガス、金属資源、産業インフラ、自動車・モビリティ、食品産業といった事業領域が高い予算進捗率となっていますが、一方で、電力ソリューション、複合都市開発は、見通し比で苦戦しております。電力ソリューション、複合都市開発グループにおいては、そもそも4Qの比重が大きいという説明となっており、楽観できる内容と見受けられます。

 

伊藤忠商事

各セグメントで進捗率が目安の75%前後となっており、安定した収益を出している印象です。住生活分野のみパルプ市況の下落、タイヤ関連事業の落ち込みがあり、進捗率は44%と大きくビハインドしておりますが、金属やエネルギー・化学品のセグメントの好調で、そちらを補い、全社としては好調な決算発表となりました。

 

三井物産

ほぼ全ての事業領域で、上方修正しております。特に金属資源が1,200億円→1,550億円、エネルギーが0億円→200億円と上方修正しており、資源に強い三井物産の強みが大きく出た決算と思いました。これから伸長させようとしている生活産業も△100億円→0億円と上方修正しているのは好感できますが、いち早い黒字化が待たれるところです。

 

住友商事

全てのセグメントで事業損益は上方修正(+800億円)しているものの、計画から追加500億円の特別損失を出すことを予定しており、年間見通しは+300億円の上方修正に留まりました。過去の投資判断の前提がコロナを理由に崩れてしまった為、仕方がない減損とは思います。基礎収益力が回復しているので、来期以降の奮起に期待したいと思います。

 

丸紅

見通し比で食料・アグリ・化学品セグメントが+110億円、エネルギー・金属セグメントが+180億円と好調な決算を引っ張っています。昨年は、石油・ガス開発事業△1,300億円、米国穀物事業△1,000億円、チリ同事業△600億円、etcで合計4,220億円の特別損失を出した丸紅ですが、昨年に事業の膿を全て出したことで今年度は、好調な決算となったようです。2019年度は基礎収益が2,250億円だったので、同社の収益力はコロナの影響が少ないと見受けられます。今後の、更なる飛躍に期待したいと思います。

 

最後に

コロナ禍でもポートフォリオを組みながら、各社稼げるところでしっかり稼いでいる印象です。伊藤忠が着々と三菱に迫っていますが、純資産ではまだ大きな隔たりもあります。丸紅も交換できる決算でしたが、純資産における住友との差は大きいです。(下記参照)、5大商社の三菱商事→伊藤忠・三井→住友→丸紅の構図はまだまだ、続くと感じた次第でした。

 

 

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以上、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。