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インカムゲインとキャピタルゲインって?

投資を始めたばかりの人は、インカムゲイン、キャピタルゲインという言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?意味を理解するのは、簡単だとしても、どちらに重きを置いた投資をすればよいのか、悩む方も多いと思います。

 

今回の記事では、インカムゲインとキャピタルゲインの仕組みとそれぞれのメリット・デメリット、どちらのスタイルを取ればいいか、を解説していきたいと思いますので、よろしければご覧下さい。

 

 インカムゲインとキャピタルゲインとは?

インカムゲインとは、不動産投資の場合→家賃、株式投資の場合→配当金、銀行預金の場合→利息、というのがインカムゲインの代表的なものになります。

 

一方で、キャピタルゲインとは、不動産の場合も株式投資の場合も、購入した時と売却した時の価格差がキャピタルゲインになります。

 

具体例を出してお話しします。(手数料や税金などは、無視して、お話します)

トヨタ自動車の株式を2019年4月5日に6,840円で100株買ったとします。そして、2020年4月3日にトヨタ自動車の株式を6,817円で100株売却したとします。6,840円で買ったものを6,814円で売却したので、1株当たり23円の損です。100株にすると2,300円の損失になります。

 

一方で、トヨタ自動車は、年2回配当金を出しています。2019年9月30日に株式を持っていた人に1株当たり100円、2020年3月31日に株式を持っていた人に1株当たり120円が支払われます。従い、10株持っていた場合、1年間で、22,000円の配当金を貰えることになります。

 

以上の例でいうと、株式を売却した2,300円の損がキャピタルゲイン△2,300円(キャピタルロス)、貰った配当金が22,000円がインカムゲイン+22,000円となります。

インカムゲイン、キャピタルゲインのメリット・デメリットは?

株式会社の仕組み

まず、それぞれのメリット・デメリットをお話しする前に、株式会社の仕組みを理解しておかなければいけません。株式会社は誰のものかというと、株主のものです。ただ、株主が自分たちで会社を運営することは出来ないときもありますので、その際は、経営を他の人に任せます。(これが所有と経営の分離ということですね)

 

この経営陣が従業員を雇って、会社を運営し、利益を上げることを目指します。営業活動で稼いだお金から、経営陣・従業員の報酬/給料やオフィス家賃、税金などを支払った後に残った利益が、純利益となります。

 

この純利益は、誰のものかというと、株主のものです。この純利益の使い道は、経営陣が株主総会を開催して、株主の了解を取った上で、決定されます。例えば、稼いだ利益は株主に還元されるべきだ!となれば、配当金や自社株買などに使われます。稼いだ額は、将来もっと稼ぐ為に使うべきだ!となれば、設備投資などに使われます。将来の危機に備え、会社でとっておくべきだ!となれば、内部留保されます。

 

簡単に言うと、稼いだお金はこのように分配されます。

インカムゲインのメリット・デメリット

インカムゲインは、「稼いだ利益は株主に還元されるべきだ!」となって、株主に配当されたお金のことになります。メリットとしては、稼いだ時点で、株主に還元されるので、利益を認識しやすいことです。

 

しかし、デメリットとしては、稼いだお金が将来の投資などに使われない為、企業の成長性が損なわれてしまう可能性があるので想定以上に稼ぐことは出来ません。

 

従い、簡単にいってしまうと、インカムゲインを目的とした投資方針は、ローリスク・ローリターンの投資方針です。

キャピタルゲインのメリット・デメリット

キャピタルゲインは、「稼いだ利益は、会社の将来に為に新規投資するべきだ!」となって、新規投資され、将来稼ぐ利益が増え、株価が上がった時に、株を売却し、株を売却した時と株を買った時の差で儲かったお金のことになります。

 

メリットとしては、企業が稼いだお金を更にうまく活用して、更に成長すれば株価も想定以上に上がるので、大きな利益が見込めることになります。デメリットとしては、企業が稼いだお金をうまく使えずに、全然成長せず、株価が上がらなかったとき、売却益を得られないことになります。

 

従い、簡単にいってしまうと、キャピタルゲインを目的とした投資方針は、ハイリスク・ハイリターンの投資方針です。

 

インカムゲインとキャピタルゲインの代表的な銘柄

インカムゲインとキャピタルゲインの代表的な銘柄をご紹介します。インカムゲインの代表的な銘柄にアルトリア・グループというアメリカの会社があります。同社は、フィリップモリスなどのたばこの製造・販売を主な事業としていますが、配当利回り8.25%(2020年8月6日時点)という高配当銘柄です。皆さんも想像できると思いますが、たばこ事業というのは、成熟産業に位置付けられ、新規投資できる余地は限定的です。従い、株主も「新規投資などせずに配当しなさい!」というし、経営陣も「しっかり配当するので、これからもよろしくお願いします」といった具合で、株主への配当を重視しています。

 

一方で、キャピタルゲインの代表的な銘柄として、アマゾンがあります。皆さん、ご存知の会社と思いますが、自社のウェブサイトを通じて、色々な商品・サービスを提供しております。アマゾンは、株主に配当を出さず、稼いだ利益は、新規投資に回しております。それでも株主は、「どんどん新規投資に回して、将来稼ぐお金を増やして下さい!」と文句はいいません。その代わり、アマゾンの成長性を信じて、株価はうなぎのぼりで、結果として、株主は、キャピタルゲインの恩恵にあずかっています。

 

参考:株価ってどうやって決まるの?

株価がどうやって決まるかは、色々な要素があると思いますが、簡単に言ってしまうと、

株価=(現在、会社が保有する純資産+現在価値に割り引かれた将来の利益)÷株数

と表現されます。

少し難しい言葉ですが、具体例を出して、説明します。

 

A社は2020年3月末で純資産で10億円もっています。2020年4月~2021年3月で1億5百万円稼ぐ予定です。そして、2021年3月に解散する予定です。株主は1,100人います。(現在価値への割引率は5%)

 

かなり無理な設定ですが、このケースでは、

株価=(10億円+1億円)÷1,100人=1百万円となります。

 

現在価値への割引率というのは、今の100万円は将来の100万円より価値が大きいということをあらわしています。

 

例えば、今100万円もっているあなたは、この100万円を運用して、1年後には105万円にできる権利をもっているとすると、今の100万円は、1年後の105万円に相当することになります。この場合、現在価値への割引率 5%となります。

 

株価がどうやって決まるか、わかっていただけますでしょうか?非常にシンプルな例となりますが、理解に役立ていただければ幸いです。

 インカムゲインとキャピタルゲインどちらのスタイルを選べばいいの?

 それでは、結局、インカムゲインとキャピタルゲインどっちを選べばいいの?と思われますが、結論は、その人の性格次第です。例えば、インカムゲイン投資家は企業が勝手に、投資家への利益の分配を決めてくれるので楽です。キャピタルゲイン投資家は、自分でいつ利益を確定させるか、自分で判断しなければならないので、いろいろ情報を収集しなければなりません。

 

のんびり、ゆっくり、安全に少ない利益を積み上げる人は、インカムゲインをスタイルとすればよいですし、自分で判断しながら、大きな利益を積み上げたい人は、キャピタルゲインを重きに置いたスタイルを取ればよいと思います。

 

ちなみに、ペンシルバニア大学のシーゲル教授は、著書「株式投資の未来」の中で、「多くの企業は、お金を使うのがあまりうまくない」といった趣旨を考察されています。つまり、キャピタルゲインを得られう会社を選別するのには、それなりの目利きが必要とのことですね。

 

この本は、投資の原則を、わかりやすく、多くの数値を用いて説明してくださっていますので、ぜひ、ご参考にしてください。

 

 

以上、最後まで読んで頂き、ありがとうございました。